富山・石川・福井県のような寒いところでは、12月〜3月は建物の明渡ができないないことがあります。
2月に建物の明渡しの強制執行ために執行官と一緒に現地に行きました。当日は、雪もちらついて寒い日でした。なんとなく嫌な予感がしました。執行官が「過酷執行」と判断して、追い出してくれないのではないか?と思いました。
過酷執行という難しい言葉が出てきましたが、執行官は賃借人が高齢者・病気の方・生活困窮者の方のような場合で追い出されると行き場所のないような人のである場合、強制的に追い出してくれないのです。
富山・石川・福井県では12月〜3月は寒い時期ですので過酷執行と判断され易い傾向にあります。実際に私が執行官と一緒に行った現場でも、執行官は過酷執行であるから今日は強制的に追い出しをしないと言いました。
結局、暖かくなる4月まで強制的な追い出しはしないということになりました。強制的に追い出すことができるまで2か月先に延びてしまいました。
建物明渡の裁判をするためには、家賃の滞納が6か月程度なければ裁判所は明け渡しを認めてくれません。裁判が終わるまでどんなに早くても、訴えをした日から2か月ぐらいは必要です。そこで、ようやく、強制的に追い出すことができるようになります。
強制的に追い出す手続きも、申立をしてから1か月ぐらいたってから始まります。
そうすると、家賃の滞納は10か月近くになってしまうのです。
そもそも家賃を滞納して追い出さなけれならない賃借人は、もともと収入が低い人ですから、滞納された家賃を支払ってもらうことは諦めなければなりません。
10か月分も家賃を滞納されているのに、過酷執行ということで強制的な追い出しができず、暖かくなるまで延ばされると、家賃の滞納が1年分ぐらいになってしまうのです。家主さんにとっては大打撃で、ローンの返済計画も予定を変更しなければならないこともあります。
できる限り冬に強制執行をすることは避けたいのですが、時期的にどうしても避けることができない場合もあります。そこで、生活保護を受給させて次の移転先を見つけてもらって退去してもらったこともあります。
強制的に追い出すことは大変なので、日ごろから滞納が発生しないように監視しておくことが大事だとおいうことがお分かりいただけたでしょうか。
私の経験からすれば家賃を3か月滞納する人はその後の家賃を支払うことはできないことが多いので、2か月滞納があれば、退去の話し合いの交渉を始めたほうがよいとアドバイスをしています。このとき、滞納家賃を免除するので出て行って欲しいというのがポイントです。