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破産以外の会社倒産手続きには何があるの

2020-04-05

会社の業績が悪化して、いよいよ「倒産」の二文字が浮かぶ状況となってきても、必ずしも破産せざるを得ないとは限りません。

 

破産以外にも選択肢があり、状況によっては「再建型」の倒産手続きを利用して会社を残せる可能性もあります。

 

今回は破産以外の会社倒産手続きについて、事業再生できるケースも含め、金沢で企業法務に積極的に取り組んでいる弁護士が解説します。

 

1.会社倒産手続きの種類

「倒産」は法律用語ではありません。一般的に株式会社などの法人が経営破たんして、債務の支払が困難となった状態を「倒産」といいます。法律的な手続をとっていなくても、銀行で2回不渡りを出しただけで「倒産」といわれるケースもあり、「倒産」という言葉の範疇は広めです。

 

会社が倒産した場合、放置しておけないので状況に応じた手続きを適用する必要があります。そのときに利用される手続きの1つが破産です。破産は会社も負債も全部消滅させる強力な方法であり、他の手続きでは解決できない場合の最終手段です。

 

倒産処理には以下のような破産以外の方法もあり、利用する制度によっては会社を残せる可能性も充分にあります。

  • 私的整理
  • 民事再生
  • 会社更生
  • 特別清算

 

それぞれについてみていきましょう。

 

2.私的整理

私的整理は裁判所を介さずに債権者と直接交渉して債務を圧縮する手続きです。個別に金融機関と交渉を行って債務の支払い額や支払方法を決め直し、和解します。

私的整理が成功すれば、会社を消滅させる必要はありません。債権者と約束した通りに債務の弁済をしていけば、会社を存続させられます。

有名な企業でも過去に私的整理を行って負債を完済し、現在は健全に営業を続けている例が多数あります。

 

3.法的整理

私的整理に対し、裁判所を使って法的な手続きにより倒産処理を行う方法を「法的整理」といいます。

法的整理には以下の4種類があります。

  • 民事再生
  • 会社更生
  • 特別清算
  • 破産

 

4.民事再生

民事再生は、民事再生法という法律によって会社の負債を圧縮し、計画通りに返済することによって会社を存続させる手続きです。

 

民事再生は数ある倒産手続きの中でも「再建型」に分類されます。再建型とは会社を残すタイプの倒産手続きです。

4-1.民事再生のメリット、破産との違い

民事再生を利用すると会社を残せる点が大きく破産と異なります。破産すると会社がなくなりますが、民事再生であれば会社の資産や信用など、これまで積み立てて来たものを失わずに済みます。

 

民事再生の手続き中は裁判所が選任する「監督委員」が手続きの進行を見守っていきますが、旧来の経営陣がとどまって会社を運営していくことも可能です。破産管財人にすべてを委ねる破産手続きと違い、経営者が自ら会社を再建していけることも民事再生の大きなメリットと言えるでしょう。

 

4-2.民事再生の注意点

民事再生では負債がなくなるわけではなく「圧縮」されるだけです。裁判所で再生計画が認可されたら、計画通りに負債を弁済しなければなりません。会社を残せたとしても経営に関する工夫や改善をしないと解決にならない可能性があります。

また再生計画が認可されるには一定以上の債権者による賛成が必要です。多くの債権者が反対すると民事再生は失敗するリスクが高まります。

 

さらに負債額が大きすぎるなど民事再生での解決が困難とみなされると、民事再生手続きが廃止されて破産へ移行される可能性があります。

 

5.会社更生

会社更生は、会社更生法という法律によって会社を再生させる倒産手続きです。民事再生と同様「再建型」の倒産手続きに分類されます。民事再生よりも強力な効果が認められており、大会社が抜本的な経営改革を行って事業を存続させる際などに利用されます。

会社更生を利用すると、会社を残せます。ただし裁判所が選任した「更生管財人」が主軸となって手続きを進め、旧来の経営陣は退任する必要があります。

 

会社更生を利用できるのは株式会社のみです。また高額な予納金も必要となり手続きも複雑なので、中小零細企業には適さないケースもあります。

 

6.特別清算

特別清算は、会社法の「特別清算」の規定にもとづいて会社を消滅させる倒産手続きです。

破産と同様「清算型」の倒産手続きに分類されます。清算型とは、会社を消滅させるタイプの倒産手続きで、特別清算をすると会社はなくなります。

特別清算も法的整理の1種なので、裁判所に申し立てて手続きを進めます。

 

破産との違い

特別清算と破産の違いは、特別清算の場合には旧来の経営陣が自ら清算手続きを進められることです。また特別清算を成功させるには一定上の債権者の賛成が必要なので、反対する債権者が多い場合には特別清算ができず、破産で解決するしかなくなります。

また破産はどのような法人でも利用できますが、特別清算できるのは株式会社のみです。

 

7.適切な倒産手続きを選択するには

以上のように、ひと言で「倒産手続き」といっても私的整理と法的整理に分類され、法的整理にも再建型と清算型の手続きがあります。

会社を残したければ民事再生、残さなくて良いなら破産など、状況に応じた選択をしなければなりません。また対応は早ければ早いほど選択肢が多くなります。早期に対応すれば私的整理や民事再生で会社を残せる可能性もありますが、状況が切羽詰まると破産しか選択肢が無くなるケースが少なくありません。

 

当事務所では、かねてから金沢の地で多種多様な中小企業の支援を行って参りました。昨今の経済事情において事業の継続にお悩みの経営者様がおられましたら、ぎりぎりのタイミングになる前に、なるべくお早めにご相談下さい。

費用がなくても法人(会社・事業者)破産する方法【弁護士解説】

2020-04-05

会社の経営状況が悪化して再生の可能性がなくなったときには、最終的に「破産」すれば負債から解放されて、経営者は新しい人生を歩み出せます。

 

しかし破産にはお金がかかります。「手元にお金がない」場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?

 

今回は法人(会社・事業者)破産で費用を用意できない場合に果たして破産申立ができるのか、お金がないときにどうすればよいか弁護士が解説します。

 

1.法人(会社・事業者)破産にかかる費用の相場

法人(会社・事業者)破産にかかる費用には実費や裁判所に支払う予納金、弁護士費用がありますが、合計すると最低でも80万円~100万円程度になるケースが多数です。

破産するには手元に100万円くらい用意しておきたいところです。

 

2.費用がなくても分割払いができる

手元にお金がない場合、会社の破産申立ができないのでしょうか?

 

確かにまったく費用を用意できなければ破産できない可能性がありますが、分割払いできるなら対応可能です。以下でパターン別に具体的な分割払いの方法をご紹介します。

 

2-1.予納金を払えない場合の対処方法

会社の破産を申し立てると、裁判所に「管財引継予納金」を払わねばなりません。最低でも20万円程度となり、複雑な事案ではより高額になって100万円を超えるケースも少なくありません。

各地の裁判所の運用にもよりますが、管財引継予納金は基本的に一括払いする必要があります。支払わないと破産手続き開始決定を出してもらえないので、破産を始めることすらできません。管財引継予納金を用意できない場合、破産を進めるのは難しくなります。

 

ただし申立前に毎月予納金に充てるお金を積み立てて申立時に裁判所へ一括払いできれば、破産できます。また裁判所によっては予納金の分割払いを認めるところもあります。

 

予納金を用意できたら、あとは次に説明するように「分割払い」で弁護士費用を払っていけば良いでしょう。

 

2-2.弁護士費用を払えない場合の対処方法

管財引継予納金を用意できても、弁護士費用までは余裕がないというケースもあります。依頼する事務所にもよりますが、弁護士費用については「分割払い」ができる可能性があります。申立前に分割払いしてもかまいませんし、弁護士が待ってくれるのであれば、申立後に分割で支払えます。

 

このように、即金で支払えなくても時間をかければ分割払いで対応できる可能性があるので、まずは一度弁護士に相談してみて下さい。

 

3.法人(会社・事業者)破産の費用を払えないときの対処方法

法人(会社・事業者)破産の費用を用意できないときには、以下のような方法を検討してみましょう。

3-1.財産を処分する

まずは、今ある財産を処分して支払ができないか検討してみて下さい。

そもそも破産すると法人(会社・事業者)の財産はすべて債権者へ配当されるので、一切手元に残すことはできません。現金化できる財産があるなら、そういったものを処分して破産費用に充てましょう。破産の際「財産隠し」のための現金化は許されませんが、裁判所や弁護士への支払いに充てることにはまったく問題ありません。

たとえば以下のようなお金を予納金や弁護士費用に充てる方法があります。

  • 保険の解約返戻金
  • 自動車などの資産を売却した代金
  • 回収した売掛金
  • 事務所や店舗の賃貸借契約を解約して返ってきた保証金

 

3-2.親族などに頼る

処分できる資産もまったくないケースでは、親族などの周囲の人に助けてもらえないか相談してみましょう。一時的には迷惑をかけてしまいますが、破産後に少額ずつ返していくことも可能です。

 

3-3.費用が安い事務所を探す

破産にかかる弁護士費用の金額は、依頼する事務所によって大きく異なります。

なるべく費用の安い事務所を選べば、支払いやすくなるでしょう。

ホームページで破産にかかる費用の金額を確認したり電話などで問合せをしたりしましょう。面倒でもいくつかの事務所で相談を受けて見積もりを出してもらい、支払ができそうな事務所を選ぶのも1つの方法です。

 

3-4.分割払いできる事務所を探す

先の項木でご紹介したように、破産にかかる費用は分割で支払えるケースもあります。ただしすべての法律事務所で分割払いを受け付けているわけではないので、希望するなら受け入れてくれる事務所を探さねばなりません。電話やメールで問合せをして破産費用の分割払いができないか、相談してみましょう。

 

3-5.破産を依頼する事務所の選び方

なお「費用が安い」というだけで事務所を選ぶと丁寧に作業をしてもらえず不利益が及ぶ可能性もあります。依頼先の弁護士事務所を選定する際には、以下のような視点をもっておくと良いでしょう。

  • 企業法務に長けている
  • 事業再生や倒産の経験が豊富
  • 親身になって対応してくれる
  • 相性が良く話しやすい、信頼感を持てる

 

 

4.できるだけ早めに相談することが重要

経営が苦しくなると、自転車操業を行っているうちにどんどん資金がなくなっていくものです。早い段階であれば破産費用を用意できたのに対応が遅くなったために資金が底をつき、ついには費用を支払えなくなって破産を諦めてしまう経営者の方もおられます。

 

そうなる前に「経営が苦しい」と感じたら早めに弁護士に相談してください。最低でも1か月分程度の運転資金があるうちに依頼すれば、比較的スムーズに手続きを進められるものです。また早期の段階であれば民事再生などによって会社を残せる可能性も高くなります。対応が早ければその分選択肢が広がるのです。

 

当事務所は長年金沢の地で中小企業のサポートを行って参りました。経営状態が悪化してお困りの経営者様がおられましたら、できるだけお早めにご相談下さい。

法人(会社・事業者)が破産すると従業員はどうなる?未払い給料、退職金、解雇予告手当の行方

2020-04-05

株式会社などの法人(会社・事業者)は、従業員を雇用しているケースが多数です。もしも会社が破産したら従業員はどうなるのでしょうか?

給料や退職金、破産後の雇用先などが心配になる経営者の方も多いでしょう。

 

今回は法人(会社・事業者)が破産した場合の従業員の待遇について、弁護士が解説します。

 

1.従業員は解雇せざるを得ない

会社は破産するとこの世から消滅します。当然、従業員の雇用を維持できないので破産するときには従業員を解雇せざるを得ません。

 

ただし「勤務先の破産」という理由で職を失った労働者は「会社都合退職」扱いとなって失業保険をすぐに受け取れます。会社としては、失業保険申請に必要となる「離職証明書」の取得と従業員への交付等に協力しましょう。

 

2.未払い給料の取扱い

会社が破産するとき、従業員への未払い給料が発生しているケースも多数あります。破産手続きにおいて未払いの給料はどのように取り扱われるのでしょうか?

 

未払いの給与は会社の「負債」の1種なので、破産法上、従業員は会社に対する「債権者」となります。給料とボーナスは同じ扱いなので、ボーナスを受け取っていない従業員も債権者ですし、残業代、通勤手当などの諸手当もすべて給料と同じ扱いになります。

 

債権者は破産手続き内で破産管財人から配当などによる支払を受けられます。

このとき「債権の種類」によって支払の優先順位があり、未払いの給料は「時期」によって債権の分類が異なります。

  • 破産前3か月分の給料

破産手続き開始決定前3か月分の給料は「財団債権」となり、破産手続きによらなくても随時に支払を受けられます。

  • 3か月より前の給料

破産手続き開始決定の3か月より以前の給料については「優先的破産債権」となり、破産管財人が配当を実施するときに他の債権よりも優先して支払を受けられます。

 

従業員の未払賃金は、銀行ローンやリース料、買掛金などの一般債権よりも優先されるので、会社に資産が残っていれば支払を受けられる可能性が比較的高くなります。

 

3.未払い退職金の取扱い

従業員の退職金が未払いになっている場合、退職金を受け取っていない従業員も「債権者」となって破産手続きの進行中に破産管財人から支払を受けられます。

 

退職金も一般債権よりは優先された取扱いとなります。ただし退職金の「金額」によって取扱いが異なります。

  • 退職前3か月分の給料総額分については財団債権

退職金のうち、退職前3か月分の給料総額に相当する金額までは「財団債権」となり、破産手続きによらず、破産管財人から随時支払を受けられます。

  • 上記を超える未払い分は優先的破産債権

退職前3か月分の給料を超える部分については「優先的破産債権」となり、破産管財人から配当を受ける際、他の一般債権よりは優先して支払を受けられます。

 

4.解雇予告手当について

会社が従業員を解雇するときには、労働基準法によって30日前に「解雇予告」しなければならないと定められています。それができなかった場合、不足日数分の「解雇予告手当」を支払わねばなりません。ただ破産するような会社は30日前に余裕をもって通知できないことも多く、かといって解雇予告手当を払う余裕もないケースが多数です。

 

解雇予告手当が未払いになったまま破産すると、それも「債権」の1種として取り扱われます。未払いの解雇予告手当は「優先的破産債権」となるのが原則で、一般的な取引先への負債などより先に配当を受けられます。

 

5.未払賃金立替払制度について

以上のように従業員への給料や退職金、解雇予告手当などの未払いが発生した場合、破産手続きで他の債権より優先して支払を受けられます。そうはいっても、そもそも会社に資産が残っていなければ、支払は受けられません。

その場合、従業員を救済する方法はないのでしょうか?

5-1.未払賃金立替払制度とは

実は企業が倒産して給料が未払いになったときなどに労働者が受ける不利益を小さくするため、国が救済制度をもうけています。「未払賃金立替払制度」です。

未払賃金立替払制度を利用すると、国が勤務先に代わって労働者へ給料やボーナスの支払いをします。

ただし支給される金額や支給の範囲には制限があるので注意が必要です。

 

5-2.支給される範囲

未払賃金立替払制度によって支給されるのは「通常の給与」と「退職金」のみです。

解雇予告手当やボーナス、通勤手当やその他の福利厚生費などは支給対象外とされます。

5-3.支給される金額

支給される金額は未払い金の全額ではなく原則的に「未払い金の80%」です。

また退職時の労働者の年齢によって異なる上限額が設定されており、上限を超える未払い金が発生していても支給を受けられません。

年齢別の上限額は以下の通りです。

  • 退職時の年齢が45歳以上…未払い金の限度額は370万円(実際に受け取れる80%の金額の上限は296万円)
  • 退職時の年齢が30~44歳…限度額は220万円(80%の金額は176万円)
  • 退職時の年齢が30歳以下…限度額は220万円(80%の金額は88万円)

 

会社が破産するとき、これまで働いてくれた従業員には可能な限り誠実に対応すべきです。最低限、未払賃金立替払制度の情報を提供し、手続き申請にも協力すると良いでしょう。

 

倒産を考えたら弁護士までご相談下さい

企業が倒産するときには、従業員の雇用や未払い金、経営者の今後の問題などいろいろと対処しなければならない事項があります。金沢で業績悪化にお悩みの経営者様がおられましたら、弁護士がサポートいたしますのでお早めにご相談下さい。

法人(会社・事業者)破産で気をつける8個のポイント・注意点

2020-04-05

会社破産では利害関係者も多く、複雑な対応が必要となりがちです。

きちんとポイントを押さえて対応しないとスムーズに進みにくく、失敗する可能性もあるので慎重に対応しましょう。

 

今回は法人(会社・事業者)破産で注意すべき8つのポイント・注意点を金沢の弁護士が解説していきます。

 

1.財産隠しをしない

法人(会社・事業者)が破産すると、法人(会社・事業者)の資産はすべて失われます。不動産や預貯金、保険などのさまざまな資産があっても完全に「0」になるので「もったいない」と考えてしまうのも自然な感情です。

 

そこで「家族名義」や「知り合いの名義」に変更して財産隠しを行う方がおられます。しかし破産法上「財産隠し」は厳しく禁止されており、発覚すると破産管財人が「否認権」を行使して、財産隠しの贈与や売買を「なかったこと」にしてしまいます。否認権が行使されると名義変更の相手にも迷惑をかけますし、訴訟などに発展して大きなトラブルになるケースも少なくありません。

 

また財産を故意に毀損、処分する行為も禁止されます。もしもそういった行動が発覚したら、破産管財人から経営者個人が損害賠償請求を受ける可能性もあります。

 

財産隠しが悪質な場合には「詐欺破産罪」が成立し、懲役や罰金の刑罰を科されるリスクも発生するので、絶対にやってはいけません。会社を破産させるなら会社の財産はあきらめましょう。

 

2.偏頗弁済をしない

会社を破産させるとき「偏頗弁済(へんぱべんさい)」にも注意が必要です。偏頗弁済とは、一部の債権者を優遇して支払いをすることです。たとえば特に親しくしていた取引先にだけ優先的に支払ったり担保権を設定したりすると、偏頗弁済となります。

 

偏頗弁済も破産法によって厳しく禁じられています。違反して特定の債権者のみを優遇すると、やはり破産管財人によって「否認権」を行使されてトラブルになりますし、「詐欺破産罪」となる可能性もあります。

 

破産するときには「特定の債権者にだけ支払う」のは厳禁です。

3.役員報酬についての注意点

会社を破産させるとき、役員報酬の取扱いにも注意が必要です。

代表者には会社に対する役員報酬の請求権がありますが、こちらを他の一般的な債権に優先して支払うと「偏頗弁済」となる可能性があります。

経営状態が苦しいにもかかわらず役員報酬だけ受け取ったとなると、破産管財人からも厳しく対応されるでしょう。

 

破産を検討しているなら、役員報酬が発生していても安易に支払を受けてはならず「他の債権者と平等」に扱いましょう。

 

4.雇用関係の整理について

会社が破産すると従業員の雇用を維持できないので、解雇しなければなりません。

勤務先が破産して職を失うと生活が危うくなるため、従業員にとっては死活問題です。解雇の際には適切に対応しないと大きなトラブルに発展するでしょう。使用者としては、丁寧な説明を中心とした誠実な対応をすべきです。

 

ただしあまり早期に従業員に破産を明らかにしてしまったら、従業員の口から情報が外部にもれて大騒ぎになってしまう可能性もあるので「時期」についても細心の注意が必要です。

 

破産するときの従業員の雇用関係の整理については、破産を告げるタイミング、説明の方法や内容、未払賃金の取扱い、解雇予告手当など、すべてに関して予測や計画を立てて慎重に対応する必要があるでしょう。

 

自己判断で対処するとトラブルの可能性が高くなるので、弁護士に相談しながら対応するようお勧めします。

 

5.代表者の債務整理が必要になる可能性

会社が破産するとき、代表者が個人保証や事業資金のための個人借入をしていれば、代表者個人も債務整理をしなければなりません。

借入額が大きければ自己破産が必要となり、個人資産まで失われる可能性があります。

 

会社が破産するときには事前に以下のような点を検討し、整理しておくようお勧めします。

  • 個人保証していないか確認する
  • 会社の事業資金のために借入をしていないか確認する
  • 保証や借入をしている場合、自力で返済できるか検討する

 

債務整理が必要になりそうなら、具体的にどのような手続きを採用するかも決めなければなりません。状況によって適切な債務整理方法が異なるので、専門家に相談して対応を進めましょう。

 

6.生活の変化、就職について

会社が破産すると代表者は職を失いますし、個人破産したら自宅もなくなるケースが多数です。新たな住居や職を見つけなければなりません。破産手続き中も就職や引っ越しができるので、早めに新たな生活の準備を開始しましょう。

 

7.破産にかかる費用を確保

破産には予納金や弁護士費用などのお金がかかります。法人(会社・事業者)が破産するなら、だいたい100万円程度は手元にあると安心です。

 

8.早めに対応することが重要

法人(会社・事業者)の経営状態が悪化したら「早めの対応」が重要です。

早期に対応すれば私的整理や民事再生などによって会社を残せる可能性も高くなりますし、資金もある程度残っているので費用も準備しやすいからです。

時期が遅くなれば「破産」しか選択肢がなくなり、資金も少なくなって破産費用すら捻出できないといった事態になりかねません。

 

もしも今、景気の悪化やさまざまな社会現象の影響などにより経営が苦しくなっている企業様がありましたら、お早めにご相談下さい。当事務所ではかねてから金沢の中小企業へのサポートに積極的に取り組んでおり、最善の解決方法をご提示させていただきます。

法人(会社・事業者)の破産にかかる費用

2020-04-05

株式会社などの法人(会社・事業者)を破産させるには費用が発生します。

破産の費用には大きく分けて「郵送費や裁判所に支払う費用などの実費」と「弁護士費用」があります。また実費の1種にも分類できますが、裁判所に「予納金」を支払わねばなりません。

 

今回は法人(会社・事業者)破産にかかる費用の内訳や相場について、解説します。

 

1.法人(会社・事業者)破産にかかる費用の種類

法人(会社・事業者)破産の際には、以下のような種類の費用がかかります。

  • 実費

実費は郵送費などの費用です。弁護士に依頼せず自分で手続きを行っても必要です。

  • 予納金

破産をするとき裁判所に納めなければならないお金です。官報公告にかかる費用と破産管財人に引き継ぐ費用があります。弁護士に依頼せず自分で手続きを行ってもかかります。

  • 弁護士費用

法人(会社・事業者)が破産するときには弁護士によるサポートが必須ですが、弁護士に依頼すると「弁護士費用」がかかります。

 

上記のうち、特に高額になりやすいのは「予納金」と「弁護士費用」です。

 

2.実費

予納金を除く実費は、さほど高額にならないケースが多数です。申立をする際に収入印紙が1,500円分必要になるのと、郵便切手が数千円分かかる程度です。

 

ただし事務所や店舗などの利用のために賃貸不動産を借りているときには、退去時に原状回復費用がかかる可能性があります。たとえば飲食店などの店舗を経営している場合、開店の際に内装を大きく変えていると、元の状態に戻すのに多額な費用が必要になる可能性があります。また物件内の荷物を処分するための費用も必要です。

 

破産申立てまでに自分で明け渡しを済ませていない場合には、管財人に明け渡し作業をしてもらいますが、その際管財人に追加費用を払わねばならない可能性もあります。

 

3.予納金

3-1.官報公告予納金

官報公告にかかる予納金は、さほど高額ではありません。各地の裁判所にもよりますが、1~2万円程度です。

3-2.管財人引継予納金

法人(会社・事業者)破産の場合、すべての件で破産管財人が選任されるため管財人への引継予納金が必要です。

管財人引継予納金の金額は負債総額、会社規模や事案の複雑さによっても異なりますが、「最低20万円」とされている裁判所が多数です。負債総額が増えると財引継予納金が100万円を超えるケースも少なくありません。

 

また弁護士申立ての場合、司法書士申立てよりも管財引継予納金が低額となる裁判所もあります。たとえば東京地方裁判所の場合、弁護士申立なら20万円~となりますが、司法書士申立の場合には50万円~とされています。

 

4.弁護士費用

会社などの法人(会社・事業者)破産を弁護士に依頼したときの弁護士費用には、相談料と着手金があります。具体的な金額は依頼する事務所や事案の規模によって異なりますが、相場があるので以下に示します。

4-1.相談料

相談料は、会社の倒産手続きについて弁護士に相談するための費用です。事務所によって金額がさまざまですが、相場は30分あたり5,000~1万円程度です。

 

4-2.着手金

着手金は、弁護士に何らかの事件対応を依頼したときに発生する費用で、原則的に依頼時に一括払いする必要があります。

法人(会社・事業者)破産の場合、最低でも50万円の着手金が発生する事務所が多いでしょう。事案の内容が複雑なケースや負債総額が多額なケース、債権者数が多いケースなどではより高額となり、100万円を超えることも少なくありません。

 

また同じ案件でも依頼する事務所によって費用が大きく異なります。依頼する前に見積もりを出してもらい、リーズナブルな事務所を選ぶと良いでしょう。

 

4-3.顧問契約をしている場合

弁護士と顧問契約を締結している場合には、破産申立てをする際に個別の相談料はかかりません。また着手金の割引きを受けられる可能性もあります。

顧問弁護士であれば、会社の実情をよく理解しているのでスムーズに破産の手続きを進められるでしょう。また顧問弁護士がいたら、早期の傷が浅いうちに適切な対応ができるので、そもそも破産せずに済む可能性もあります。

 

当事務所でも金沢の企業様へ向けて顧問のサポートを積極的に行っていますので、よろしければぜひ顧問契約をご検討ください。

 

4-4.消費税

弁護士費用には相談料、着手金ともに10%の消費税が加算されます。

 

5.法人(会社・事業者)破産にかかる費用の目安

以上を前提に株式会社などの法人(会社・事業者)が破産するときに必要な費用の目安をお伝えすると、最低でも80万円程度はみておくべきといえます。ケースにもよりますが、100万円程度は手元に用意しておきましょう。

 

 

6.法人(会社・事業者)破産を依頼する弁護士の選び方

破産を依頼するとき「なるべく費用の安い弁護士の方が良い」と思うかも知れませんが、その考え方は危険です。安くても雑な対応をされると、手続きがスムーズに進まずかえって不利益を受けるおそれがあるためです。きちんと親身になって相談に応じてくれて、丁寧に作業を進めてくれる弁護士を選びましょう。

 

高額過ぎる弁護士事務所を選ぶ必要はありませんが、費用が多少はかかってもきっちり仕事をしてくれる、経験豊富な弁護士事務所を選ぶべきです。

 

当事務所は金沢の地に根ざし、これまで多数の中小企業を応援し続けてきた老舗の法律事務所です。企業の倒産にかかる費用について心配な場合にも柔軟にご相談に応じますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

法人(会社・事業者)破産の流れについて

2020-04-05

株式会社などの法人(会社・事業者)を破産させるとき、どういった流れになるのか説明します。

 

STEP1 弁護士に相談

STEP2 準備

STEP3 破産申立て

STEP4 破産手続き開始決定と破産管財人の選任

STEP5 債権者集会

STEP6 債権者への配当

STEP7 廃止・終結

 

STEP1 弁護士に相談

まずは破産などの倒産手続きに詳しい弁護士に相談しましょう。破産手続きは専門的で難しく、弁護士への依頼が必須です。

弁護士に依頼すると厳しい取り立てが止まるメリットもあるので、業績不振にお悩みであれば早めに相談して手続きを依頼しましょう。

 

STEP2 準備

破産することに決めたら、準備を進めなければなりません。破産を弁護士に依頼すると取り立てが止まるので、その間に資料収集を進めましょう。必要となるのは以下のようなものです。

  • 会社の全部事項証明書(商業登記簿、発行後3か月以内のもの)
  • 取締役会議事録
  • 預貯金通帳の写し
  • 不動産の全部事項証明書
  • 賃貸借契約書の写し
  • 自動車登録証
  • 生命保険証書の写し、解約返戻金証明書
  • 有価証券の写し
  • 貸借対照表、損益計算書
  • 税務に関する資料(申告書の控え)

 

具体的な必要資料は個別のケースによっても異なります。弁護士から詳しい指示を受けられるので、その通りに集めていきましょう。

また経営者や当事者の方が必要書類を集めている間に弁護士が債権調査を行い、申立書や債権者一覧表、財産目録等の書類を作成して準備を進めます。

 

事業を継続中の場合、従業員への通知や会社財産の保全などの対応も必要です。難しいケースでも経験豊富な弁護士がついていれば安全に進められるので、サポートを受けながら対応していきましょう。

 

STEP3 破産申立て

準備が整ったら弁護士が裁判所に書類を提出し、破産の申立を行います。経営者は特に何もする必要はありません。

 

STEP4 破産手続き開始決定と破産管財人の選任

破産申立を行うと、裁判所で提出書類が審理されます。特に不備がなければ破産手続き開始決定が下され、同時に「破産管財人」が選任されます。

 

破産管財人とは、破産会社の財産を預かって管理し、換価作業を行って債権者に配当を行う人です。会社の詳しい財産状況や債権者の状況、破産に至るまでの経緯、粉飾決算の有無や財産隠しがないか調査を進めるなど、破産手続きの中で非常に重要な役割を負います。

 

破産管財人が選任されたら、申立人(経営者)は破産管財人に面談に行かねばなりません。

申立を弁護士に依頼していたら、申立代理人の弁護士も破産管財人の事務所に同行して一緒に話をします。

 

破産管財人に財産資料を始めとする必要な資料を受け渡したら、破産管財人が換価作業を開始します。その後もときどき経営者が破産管財人の事務所に呼び出されて話を聞かれたり、申立代理人を通じてさまざまな事項を照会されたりする可能性があります。

 

また破産管財人の選任後は、会社宛の郵便物は破産管財人宛に届くようになります。

 

 

STEP5 債権者集会

破産手続きが開始されると、裁判所で定期的に「債権者集会」が開かれます。

第一回の債権者集会は、破産手続き開始決定の約1か月後に行われるのが通常です。

 

債権者集会には申立人(経営者本人)も出席しなければなりません。債権者が出席するかどうかはケースバイケースですが、金融機関や貸金業者は出席しない事例が多数です。債権者が誰も出席せずに集会が進められるケースも珍しくありません。

個人などの債権者がいると当初は熱心に出席して意見を述べたりしますが、回を重ねるにつれて出席しなくなる例が多く、テレビドラマのように債権者が大騒ぎをして荒れる事例はほとんどありません。

 

また債権者集会にも申立代理人が毎回同席し、申立人の代わりに意見を述べたり説明したりできるので安心しましょう。

 

STEP6 債権者への配当

破産管財人による調査や換価の業務が終了したら、債権者への配当が行われます。

配当は破産管財人が行うので、申立人は何もしなくてもかまいません。

配当するだけの財産がなければそのまま廃止されます。

 

STEP7 廃止・終結

破産手続きが廃止あるいは終結すると法人(会社・事業者)破産の手続きはすべて終了し、官報に公告され、法人(会社・事業者)の商業登記簿は閉鎖されます。法人(会社・事業者)が消滅し、負債もすべてなくなります。

 

破産手続きにおいて代表者がすべきこととは

破産手続きにおいて、経営者は以下のような対応をしましょう。

弁護士や破産管財人、裁判所の指示に従う

申立代理人として依頼する弁護士、破産管財人、裁判所の指示に従ってスムーズに対応しましょう。対応が遅くなるといつまでも申立ができなかったり手続きが進まなかったりしてリスクが発生します。

 

従業員への説明

従業員のいる会社では、従業員への配慮が必要です。スムーズに手続きを進めるためにも申立て前にしっかり説明を行い、誠実に対応すべきです。未払賃金をどのようにすべきかについては弁護士と相談して決めましょう。

 

財産隠しをしてはならない

破産すると財産が失われるので、隠そうとする経営者がいます。しかしそのようなことをすると破産手続きが進みにくくなり失敗のリスクも高まるので絶対にしてはなりません。

財産をどう取り扱ってよいかわからないときには弁護士に相談しましょう。

 

 

当事務所では金沢の地で長年地元企業へのサポートを続けて参りました。破産を始めとする倒産や事業再生の案件も多数取り扱ってきた実績とノウハウがあります。経営不振にお悩みの方は是非とも一度ご相談下さい。

法人(会社・事業者)破産のデメリット

2020-04-05

業績不振により株式会社などの経営が困難となったとき、法人(会社・事業者)を破産させて解決する方法があります。ただし破産にはデメリットもあるので、検討段階で正しく理解しておきましょう。

 

今回は法人(会社・事業者)破産のデメリットをご紹介します。

 

1.会社が消滅する

事業不振になったときの解決方法はいくつかあります。

大きく分けると「再建型」と「清算型」の倒産手続きがあり、再建型の場合には会社を維持できます。たとえば「民事再生」を利用すれば旧来の経営陣が引き続いて経営に携われるケースも少なくありません。

 

一方破産の場合、法人(会社・事業者)は完全に消滅します。これまで築いた会社の有形無形の資産や信用、ブランドなどもすべて失われるのはデメリットとなるでしょう。経営者にとって会社は自分の子どものような存在であるケースも多く、喪失感も大きくなります。

 

2.資産・財産が失われる

法人(会社・事業者)が破産すると法人(会社・事業者)が所有していた資産や財産はすべてなくなります。不動産や預貯金、株式、知的財産などさまざまな価値のある資産を得ていたとしても残すことはできません。

法人(会社・事業者)破産に伴う経済的な損失は多大です。

 

3.従業員を解雇せざるをえない

従業員を雇用している会社が破産すると、会社自身が消滅するので従業員の雇用を維持できません。資金に余裕がなければ最終の給料や退職金も満足に払えないでしょう。解雇された従業員やその家族が生活に困る可能性もあります。

これまで会社のために働いてきてくれた従業員に迷惑をかけざるをえないのも破産にともなうデメリットの1つといえます。

 

4.取引先に迷惑をかける

取引先に未払いの買掛金がある場合、破産すると支払えない可能性が高くなります。

これまでお世話になり、懇意にしてきた取引先に迷惑をかけて信用を失ってしまうのはリスクとなるでしょう。

 

5.代表者が破産しなければならないケースも多い

日本では、会社借り入れの際に代表者が個人保証する例が多数です。

そういったケースで会社が破産すると連帯保証人になっている代表者が残債を支払わねばなりません。代表者に支払能力がなければ代表者個人も破産せざるを得なくなります。

 

そうなると、代表者個人の自宅や預貯金、生命保険などもすべて失われ、家族にも心配と迷惑をかけるでしょう。

 

法人(会社・事業者)破産を検討する際には、経営者が個人保証していないか、どの程度の債務の保証をしているか、事前に調査しておく必要があります。

 

6.代表者・役員に対する責任追及の可能性

経営に失敗して会社が破産せざるを得なくなったとしても、当然に経営陣が責任を負う必要はありません。ただし故意や重大な過失によって会社に損害を与えた場合、経営者や役員は会社に損害賠償義務を負います。すると破産管財人が経営者や役員に責任追及をしてきます。

 

通常の破産案件で代表者や役員が責任を負う心配は不要ですが、稀に損害賠償される事例もあることを頭に入れておきましょう。

 

7.連帯保証人に迷惑をかける

会社が借り入れをするとき、経営者以外の人が連帯保証人になっている可能性があります。

たとえば役員が連帯保証している場合もありますし、従業員や知人に連帯保証人になってもらっている場合もあるでしょう。破産するとこういった連帯保証人に大きな迷惑をかけてしまいます。

 

また代表者本人が個人破産する場合、配偶者が住宅ローンなどの連帯保証人になっている可能性があるので注意が必要です。配偶者が住宅ローンの残債を支払えなければ配偶者も一緒に破産せざるを得なくなります。

 

8.時間と手間がかかる

破産は時間と手間のかかる手続きです。会社の規模や資産・負債の内容にもよりますが1年はみておくべきでしょう。

その間、破産管財人から呼び出されてさまざまなことを聞かれたり、財産調査で厳しく追及されたりする可能性があります。月に1回程度開かれる、裁判所の債権者集会にも出席しなければなりません。

 

破産を申し立てたらある程度体力的、時間的なコストがかかることを覚悟しなければなりません。

 

9.多額の費用がかかる可能性

法人(会社・事業者)破産は非常に複雑で専門的な手続きです。経営者個人が一人ですべての書類や資料を用意して申立を行い、手続きを進めていくのはほとんど不可能で、弁護士の助力が必須です。

ただ弁護士に依頼すると弁護士費用がかかります。金額は依頼する事務所や会社の規模、財産や負債の内容によっても異なりますが、100万円以上になるケースも少なくありません。

 

また破産する際には裁判所に「管財予納金」を納めなければならないので、最低でも20万円程度のキャッシュが必要です。

 

10.破産のリスクを抑えるには弁護士に相談を

確かに法人(会社・事業者)破産にはさまざまなデメリットをともないますが、破産すると経営者は業績不振となった会社経営から解放され新しい人生を歩めるという大きなメリットを得られます。また専門の弁護士のアドバイスを受けながら手続きを進めれば、リスクを最小限度にとどめつつ破産を進めることも可能です。

 

金沢でも景気の変動などによってやむをえず廃業・破産を検討される企業があるでしょう。お困りの際にはぜひとも1度、あさひ法律事務所の弁護士までご相談下さい。

法人(会社・事業者)破産のメリット

2020-04-05

会社を経営していると、景気の変動や感染症の流行などさまざまな要因によって業績が変動するものです。ときには経営を維持できず破産を検討するケースもあるでしょう。

 

金沢にも多くの中小企業が存在していますが、弁護士として廃業・破産に悩む経営者の方からご相談を受ける機会が少なくありません。

 

今回は法人(会社・事業者)破産のメリットについて、金沢で企業法務や事業再生に積極的に取り組んでいる弁護士が解説します。

 

1.取り立てから解放される

法人(会社・事業者)の経営状況が悪化してくると、債権者は「倒産される前に回収しよう」と考えて急ぎ取り立てようとする傾向があります。特に支払いを遅延すると、債権者が激しく取り立てを行うケースが多数です。

 

事務所に直接訪ねてこられて取り立てを受けたり、倉庫に保管している商品を勝手に持って行かれたりする事例もみられます。このような厳しく乱暴な取り立てを受けると、経営者としては冷静に物事を考えられなくなり次の一歩を進める準備も困難となるでしょう。

 

弁護士に破産を依頼すると、弁護士がすぐに各債権者へと受任通知を送付してすべての取り立て行為を禁止します。また連絡事項がある場合には弁護士を通じて行うよう申し入れるので、たいていの債権者は経営者に直接連絡をしてこなくなります。

 

万一経営者にしつこく連絡をしてくる債権者がいれば、弁護士が厳しく警告して牽制するため、だんだんと退いていくケースが多数です。

 

破産手続きの開始によって厳しい取り立てから解放されると、事業不振に悩む経営者にとって大きなメリットとなります。

 

2.苦しい経営から解放される

経営者は会社に対して責任を負う立場です。しっかり経営を行い高い業績を出して従業員に給料を渡し、株主などに還元していかねばなりません。

ところが経営状況が悪化してくると、そういったことがままならなくなります。苦しい会社経営のことで頭がいっぱいになり、夜も眠れなくなる経営者の方が少なくありません。

 

会社を破産させれば業績不振の問題や負債の返済ができるかどうかなどを心配する必要はなくなります。苦しい経営から解放されるのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

3.すべての負債がなくなる

会社が破産すると、すべての負債がなくなります。例を挙げると以下のようなものです。

  • 借入金
  • 未払い家賃、地代
  • リース債権
  • 買掛金
  • 従業員の給料、退職金
  • 水道光熱費
  • 滞納税
  • 滞納健康保険料

 

個人破産の場合には税金や健康保険料などの支払いが残ってしまいますが、法人(会社・事業者)の場合には法人(会社・事業者)自身が消滅するためこういったものも含めてすべての支払い義務がなくなります。

法人(会社・事業者)の破産後に元代表者が個人的に法人(会社・事業者)の滞納税を払う必要もありません。

 

すべての負債がなくなるのは法人(会社・事業者)破産の大きなメリットです。

 

 

4.経営者が新たな人生を歩める

会社経営に失敗したとき、いつまでもうまくいかない事業にかかわっていては人生の貴重な時間が無駄になります。それよりは新しい事業を始めたり資格を取得したり他人が経営する会社に就職したりして、別の人生を歩み始める方が建設的といえるでしょう。

 

会社を破産させない限り、いつまでも法人(会社・事業者)経営から逃れられず、新しい一歩を踏み出すことはできません。破産させると会社も負債も消滅するので経営者は自由の身となり、新たな人生を選択できます。

法人(会社・事業者)が破産しても代表者は資格制限を受けず自由に就職できますし、破産者でも会社役員になれるので新たな会社を設立して自ら経営者や役員となることも可能です。

 

5.きちんと手続きをすれば成功の可能性が高い

会社が業績不振となったときの倒産手続きにはいくつか種類がありますが、中でも破産は成功する可能性の高い方法です。

たとえば私的整理(任意整理)の場合、各債権者と個別に交渉を行って和解していかねばなりません。債権者が納得しなければ失敗に終わります。

民事再生の場合にも、負債が大きくなりすぎていると困難となり破産へ移行されるケースも少なくありません。また再生計画を立てても多数の債権者が反対すると結局は失敗してしまいます。

 

破産の場合、時間はかかっても最終的には法人(会社・事業者)と負債がともに全部消滅して期待通りに解決できる可能性が高くなっています。予測可能性、成功する可能性が高いことは破産を選択するメリットとなります。

 

6.破産を弁護士に依頼する必要性について

法人(会社・事業者)破産のさまざまなメリットを最大限に活かして安全に手続きを完了するには、専門の弁護士による関与が必須です。法人(会社・事業者)破産は非常に重厚で複雑な手続きなので、経営者が一人で進めるのはほとんど不可能です。

また破産の大きなメリットの1つとして「手続きを開始すると債権者からの取り立てが止まる」というものがありますが、弁護士に依頼しなければ取り立ては止まりません。

厳しい取り立てや苦しい経営の悩みから解放されるには、一刻も早く弁護士に破産を依頼する必要があります。

 

どうしても破産したくない場合には民事再生などの別の手続きを検討できる可能性もあります。いずれにせよ早めの対応が肝心ですので、金沢で経営不振に悩まれている経営者の方がおられましたら是非とも一度、あさひ法律事務所までご相談下さい。

法人が破産したら代表者はどうなるのか?

2020-04-04

経営している会社が破産したら、代表者(経営者)本人にはどういった影響が及ぶのでしょうか?

 

  • 自分も破産しなければならないのか?
  • 経営者の財産はどうなるのか?
  • 会社の負債が自分に及ぶ可能性はないのか?
  • 家族に迷惑が及ぶのでは?

 

さまざまな心配が頭をよぎるでしょう。

 

今回は法人が破産したときに代表者にどのような影響があるのか、金沢で企業法務に積極的に取り組む弁護士が解説します。

 

1.法人が破産しても必ずしも代表者が破産する必要はない

会社が破産しても、必ずしも代表者は破産する必要がありません。

法律上「代表者個人」と「会社」は別人格だからです。

会社の借入と個人の借入は別勘定なので、基本的に会社の負債は代表者に及びません(ただし連帯保証人になっている場合には及びます)。

法人の滞納税や滞納社会保険料などが代表者に及ぶ可能性もありません(こちらも保証している場合には及ぶ可能性があります)。

 

会社が債務超過で支払が不可能となっていても、代表者個人が支払不能な状態になっていないなら個人は破産する必要がないのです。

 

「会社が破産したら経営者も破産する」とは限らないので、まずは押さえておきましょう。

 

2.代表者が破産しない場合、法人破産による影響は?

法人が破産したら、代表者にはどういった影響が及ぶのでしょうか?

 

代表者個人が破産しない場合には、代表者の財産や負債には影響が及ばず個人資産は失われません。

たとえば代表者が個人名義の自宅に住んでいる場合、会社が破産しても自宅はなくなりません。個人名義の預貯金や車も失われず、それまで通りの生活が可能です。

 

なくなるのは「会社の財産と負債」「会社そのもの」だけです。

 

ただし代表者としては、会社の破産手続き進行に協力する必要があり、債権者集会に出席するなど時間と労力がかかります。また会社破産によって職を失うので、就職や起業を検討しなければならないでしょう。

 

3.会社破産にともなって代表者が破産しなければならないケースとは

以下のような場合には、法人の破産に伴って代表者も破産しなければなりません。

3-1.会社の負債を連帯保証している

日本の中小企業の代表者は、会社の負債を「連帯保証」しているケースが非常に多くなっています。政府系の公庫や金融機関からの借入をする際、代表者による個人保証を求められるためです。

 

代表者が個人保証している状態で会社が破産すると、代表者は会社の代わりに負債を返済しなければなりません。代表者にも返済が不可能であれば、代表者個人が破産する必要性が発生します。

 

3-2.会社の運転資金のために個人借入をしている

会社のために個人保証をしていなくても、運転資金のために代表者が個人的な借入を繰り返しているなら注意が必要です。

たとえば消費者金融やビジネスローンなどを使って個人的に借入をして会社に貸し付けたりしていると、会社が立ちゆかなくなると個人的な借入先へも返済できなくなります。

そうなったら個人が破産しなければならない可能性が発生します。

 

4,代表者が破産した場合の影響

もしも会社の代表者が破産したら、どういった影響が及ぶのでしょうか?

4-1.個人資産がなくなる

代表者個人が破産すると、代表者個人の資産は失われます。生活に最低限必要なものだけが残り、自宅や車、保険や預貯金、株式などはすべてなくなるので引っ越しを余儀なくされますし、貯蓄のない0からのスタートとなってしまいます。

ただし配偶者名義の財産には影響がありません。

 

4-2.一部の職業を制限される

代表者の破産手続きの最中は、一部の職業や資格が制限されます。制限されるのは以下のような職業です。

  • 弁護士や税理士などの士業
  • 警備員
  • 保険外交員
  • 宅建業の資格
  • 旅行業の資格
  • 貸金業の資格
  • 質屋
  • 調理師
  • 騎手

他にもいろいろあります。ただ一般的な仕事には支障がないので、該当しない場合には気にする必要はありません。

 

4-3.ブラックリスト状態になる

個人破産すると「信用情報」に破産情報が登録されていわゆるブラックリスト状態になります。借入の審査に通らなくクレジットカードの発行や利用もできなくなるので、一定期間は不便な生活となるでしょう。

 

4-4.就職は可能

会社が破産すると職を失うことになりますが、破産手続き中でも就職は可能です。

むしろ就職しないと生活を維持できないので、できるだけ早めに転職活動を行って内定を目指しましょう。

 

4-5.起業、役員への就任も可能

いったん会社経営に失敗して破産しても、再度起業できます。破産者でも役員に就任できますし新たな会社の代表者になれるので、安心しましょう。

 

6.破産以外の選択肢もある

代表者が連帯保証や個人借入をしている場合でも、破産を避けられる可能性があります。

任意整理や個人再生という別の債務整理方法があるからです。これらの方法であれば、自宅や預貯金などの財産を残せますし資格(職業)制限もありません。ただし破産と違って手続き後の返済が必要なので、負債の額が大きすぎる場合や支払能力がない場合には利用できません。

 

7.金沢で「破産」を考えたら弁護士までご相談下さい

会社が破産するとき、代表者にどのような影響が及ぶかはケースバイケースです。個人保証の有無、負債の金額などによっても異なります。

適切に対処して不利益を最小限度にとどめるためには専門家による助言が必須となるでしょう。金沢で経営難に陥り会社の破産を検討されている経営者様がおられましたら、お気軽に当事務所の弁護士までご相談下さい。

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